FUKUFUKU LIFE INTERVIEW!
新型コロナウイルスの影響をきっかけに、働き方や暮らし方が多様化している近年。自らの生き方を見つめ直し、「移住」という選択をする人も増えています。福知山市でも、さまざまなバックグラウンドを持つ方が移住されています。
「福知山移住者インタビュー」では、福知山へ移住した方々に、暮らし、しごと、人とのつながりなど、どのようなきっかけで福知山を移住先に選んだのかをお聞きし、「移住者から見る福知山の魅力」を紐解いていきます。
今回は、福知山市まちなかエリアでカフェ「Copitos de Nieve(コピートス・デ・エニべ)」を営む波多野 愛子さんとエクアドル人の夫、ホルヘ・エンリケ・ゴメス・ベナルカサルさんにお話を伺いました。
【移住者プロフィール】波多野 愛子さん、ホルヘ・エンリケ・ゴメス・ベナルカサルさん
波多野さんは京都府綾部市出身。美術大学を卒業後、大学在学中にジュエリーブランドで学生デザイナーとして活動。地元にUターンして行政機関で働いたのち、2020年にJICA青年海外協力隊としてエクアドル共和国へ渡る。エクアドルのコーヒー生産者協会でマーケティング隊員(デザイン)として活躍するが、コロナ禍で全隊員が緊急一時帰国となって一時帰国。2022年4月に再びエクアドルへ派遣された。
コーヒー生産者協会の職員だった同国出身のホルヘさんと結婚し、2024年4月に日本に移住。9月に福知山市のまちなかにカフェ「Copitos de nieve」をオープン。
インスタグラム:https://www.instagram.com/cafeteria.copitosdenieve/
ジュエリーブランドにデザイナーとして従事したのち、地元綾部市で市役所の臨時職員として働いていた波多野さん。人生の転機になったのは、親交のあった大学の副手さんから聞いた青年海外協力隊の話。
「その方が若い時に青年海外協力隊としてチリに行って、現地でデザイナーとして従事していたことがあるという話を聞いたんです。当時、市役所で働いてたんですが、やっぱりデザインの仕事がしたくて。でも地元ではあまり仕事がなくて、どうしようかと悩んでいたところだったんです」
早速、青年海外協力隊に応募した波多野さん。デザイナーとしてのスキルを活かして、エクアドルのコーヒー生産者協会で働き始めます。
しかし派遣されてすぐにコロナ禍となり、帰国せざるを得ない状況になります。再びエクアドルに行くことができたのは2022年。そこから2年ほどエクアドルで過ごすうちに、現地でできた初めての友人だったホルヘさんとの絆が深まり、結婚。
「結婚が決まってから、これから2人でどういう風に生きていくかを話し合って、人生の地図を描きました。できることをリストアップしていったら、カフェかなって。それで青年海外協力隊の任期が終わったら、日本に帰国してカフェを開業することにしました」
2024年の4月に夫妻で帰国し、以前から計画していたカフェをオープンするために動き始めます。当初は京丹波町の物件を借りる予定で進めていましたが、知り合いの建築士から現在の物件を勧められました。
「元はガラス店だった場所で、その建築士の方が事務所として利用する予定だったそうなんです。でも私たちが気に入ったなら譲ってあげるって言ってくださって」
ガラス店だった場所は、木目調の落ち着いた雰囲気の内装にリノベーションし、2人のカフェに生まれ変わりました。
▲店内の一部はガラスショップとして、建築士さんの代わりに運営している
店舗だけでなく、住まいも福知山でつながった人の縁で見つけることができたそうです。
「モーニングを提供すると決めていたので、店の近くで住居を探していたところ、新町商店街でカフェを営むまぃまぃ堂さんが今の大家さんを紹介してくれました。ちょうど、私たちの前に住んでおられた方が退去されて、新しい住人を探しておられたんです。駐車場もお店の向かいの方が『ここ、使ったらいいで』って貸してくれたり…出会う人出会う人に助けてもらって、本当にありがたいです」
バタバタと忙しく開業準備が進み、2024年9月に念願のカフェをオープンさせました。カフェの名前は「Copitos de nieve(コピートス・デ・ニエべ)」。これはスペイン語で「雪の結晶」という意味で、夫であるホルへさんのあだ名に由来しているそう。
来日して間もないこともあり、日本語があまり話せないホルへさん。波多野さん自身、ホルへさんが言葉の壁などに悩むこともあるのではと懸念していたそう。
「夫も最初は接客を不安に思ってたらしいんですが、彼が分かるようにお客さんがメニュー表をさしながらゆっくり話してくれたり、買い物に行くとジェスチャーで手助けしてくれたり。みんながやさしいって言っています」
すれ違うと挨拶をしてくれたり、話しかけてくれたり。まちの人は驚くほどすんなりとホルへさんを受け入れているそうです。特に年配の方たちに大人気!
「近所のおばあちゃんがお店に来て『あんた、男前やなー!』って主人を褒めてくれて。次の週にはお友達を連れてきて、また褒めてくれて。日本語がわからなくてもどんどん話しかけてくれるんです。なぜ、みんなこんなに温かいんだろうって嬉しくなりました」
エクアドルとのギャップはありながらも、「福知山はとても暮らしやすいまち」とホルへさん。
「日本の買い物や生活のシステムはエクアドルに比べてとても便利です。福知山は生活に便利な市街地もあって、自転車だけでも生活できる。少し離れると美しい山や川など自然もあるので、外国人である自分にとっては暮らしやすいまちです」(ホルへさん)
最近の楽しみは、サッカー観賞と福知山で新しくできた友達たちとフットサルをすることだそう。
開業からおよそ半年。SNSや口コミ、近所の人たちの紹介などで評判が伝わり、カフェにはたくさんの人が訪れています。その理由は、やはりここでしか味わえないコーヒーのおいしさ。
ホルへさんは、エクアドルでコーヒー農園を一軒一軒バイクで回り、コーヒーの栽培指導を行っていた、また、焙煎についても職員の焙煎士から直接指導を受けていたいわばコーヒーのプロフェッショナル。一粒の豆から木になって収穫するまでの全工程に携わってきたからこそ、豆の状態に合わせてどのようにドリップしたらおいしくなるかがわかると言います。
「コーヒーによって、チョコレート、柑橘、ナッツなど異なる香りや風味があり、その特徴を一番強く出せるように焙煎しています。私たちが使っている豆は、適した条件で焙煎ができると香りが強くなり、フルーティでありながらも少しコクがある味わいになります」(ホルへさん)
豆の仕入れから焙煎までこだわり抜かれたコーヒーは、言葉の壁を超えてたくさんの人に「おいしい」を提供しています。
「お客さんがたくさん来てくれて満席になった時や、『おいしいコーヒーだね』『いい香りだね』と聞こえてくると、ここでカフェを開いてよかったなと思います」(波多野さん)
2人が福知山で店を開き、もうすぐ半年が経とうとしています。地域の中で顔見知りも増え、中には「2人のカフェをきっかけに、また商売が盛り上がるまちをつくりたい」と話す人も。
「私たちを支えてくださっているまちの方々が『この辺りは昔、商売のまちだった。だからまたこうやって、まちを盛り上げてくれる人が来てくれて嬉しいよ』とおっしゃって、色々な方面で助けてくださるんです。皆さんのまちへの熱い想いを聞いていると、頑張ろうと思えます 」(波多野さん)
▲エクアドルのアルパカの毛で作られたぬいぐるみ。店内ではエクアドル雑貨も販売している
今後はエクアドルの伝統菓子などを提供するイベントや、コーヒー教室など色々と構想中。日本ではなかなか触れる機会が少ないエクアドルの食や文化。2人を通じて、福知山から広がっていくかもしれません。
ーーーー
記事を読んで福知山での暮らしや農業に興味を持った方はぜひ、「
参加者の方の希望に沿って、その地域に暮らす移住者や地元の方か
福知山暮らし体感ツアー
日 時:参加者と調整
内 容:移住するにあたって知りたいこと、移住する際の希望(①子育て、②農のある暮らし
、③まちなか暮らし)などを参考に、市職員が福知山市をご案内します。
参加料:無料(福知山までの交通費、食事代・体験料などは自己負担となります)