FUKUFUKU LIFE INTERVIEW!
新型コロナウイルスの影響をきっかけに、働き方や暮らし方が多様化している近年。自らの生き方を見つめ直し、「移住」という選択をする人も増えています。福知山市でも、さまざまなバックグラウンドを持つ方が移住されています。
「福知山移住者インタビュー」では、福知山へ移住した方々に、暮らし、しごと、人とのつながりなど、どのようなきっかけで福知山を移住先に選んだのかをお聞きし、「移住者から見る福知山の魅力」を紐解いていきます。
今回は、千葉県から福知山市に移住し、「Farmers Tables」などへのイベント出店や料理教室などを行いながら、「心もからだも健康になれる食」を伝える料理家・栄養士のkonomi(このみ)さんにお話を伺いました。
【移住者プロフィール】konomiさん
大阪府大阪市出身。学生時代に栄養士免許を取得し、栄養・健康について学ぶ。妊娠中に妊娠糖尿病を発症したことをきっかけに、食生活について考え直すようになる。首都圏で有機栽培の農家とコラボレーションしたケータリング、レシピ監修など食にまつわる活動を開始。2024年に福知山市へ移住し、活動を再開。「Farmers Tables」などへのイベント出店や料理教室などを行いながら、料理家・栄養士として「心もからだも健康になれる食」を伝える活動を行っている。
活動発信:https://www.instagram.com/konomi_1202
レシピ:https://www.instagram.com/mutenka_klife/
konomiさんが、食に興味を持ち始めたのは、中学生の頃。忙しく働く母の代わりにご飯をつくっているうちに、やりがいや楽しさを感じるようになったのだそう。
「家族がおいしいって食べてくれるのが嬉しくて。飽き性なんですけどなぜか料理だけはずっと関心があって、短大で栄養士免許を取りました」
その後、千葉に移り住んだkonomiさん。おいしいだけでなく、からだにもやさしい料理をつくろうと意識するようになったのは、自身が妊娠時に「妊娠糖尿病」と診断されたことから。
「ちょうどその頃、父が糖尿病で亡くなりました。自分も体質的に糖尿病になりやすいのではと思い、これまでの食生活を見直すことにしたんです」
人工甘味料や糖類を含まない無添加の調味料に変えたり、新鮮な野菜を多く摂るように心がけるようになると、自然とからだに良い変化があらわれたそう。
「妊娠糖尿病が改善しただけでなく、風邪をひきにくくなったり、体重が大幅に増減することもなくなりました。食事でこんなにも変わるんだって驚きましたね」
そのうちに食の知識や体質改善の経験を活かして、妊娠中や子育てをしているお母さんのサポートになることをしたいと考えるようになったkonomiさん。そんな思いを抱いていたとき、友人から「イベントでサポートをしてほしい」と誘われました。
「環境に配慮したサステナブルがテーマのイベントの一環で野菜の量り売りをしていたんですが、どう調理したらいいかわからない人もいるから、野菜を使ったレシピを考えてほしいと頼まれたんです。レシピを販売する場所に貼っておいたんですが、たくさんの人がレシピの写真を撮っていたんです。こんなにも需要があるんだ!って」
その後、イベントでその様子を見た農家の人から「野菜の定期便にいれるレシピを提案してほしい」とkonomiさんに連絡が来ました。活動は徐々に広がり、首都圏の農家や企業などから出張料理やケータリング、レシピ開発の依頼が舞い込みます。ゼロからのスタートでしたが、人と人とのつながりを育みながら、時には自ら行動し仕事の幅を広げていきました。
「東京のイベントでフードロスの野菜を使って加工品を作っていた農家さんがいたんですが、その発想や考えがすごく素敵で。『一緒に何かしたいです!』とお願いしたら、偶然にも出張料理を担当してくれる人を募集していたんです。そんなご縁が重なって仕事につながっていきました」
試行錯誤しながら、自分がやりたいと思う食の活動をスタートさせたkonomiさんでしたが、2024年2月に夫(福知山市のシティプロモーション企画「福知山の変」に、まちを変えていく変化人として登場した片野翔大さん)の故郷の福知山に家族で移住。暮らしを整えながら、konomiさんは今後の活動について考えていました。
「福知山で活動を始めることに少し不安はあったんですが、よく考えたら千葉でもゼロから始めたことなんやし、できるやんって。きっと好きなこと、やりたいことを言い続けていれば、誰かが見ててくれるし、助けてくれる。不思議とそんな自信がありました」
そこからSNSで情報発信したり、女性起業家交流会などに参加するなど積極的に行動していると、出張料理や料理教室など仕事の依頼が舞い込むようになります。取材日当日も、農家の人から依頼されたお弁当づくりに励んでいたkonomiさん。
「依頼してくれた『小林ふぁ~む』さんは、夫と一緒に登壇したセミナーで私のお弁当を食べて、頼みたいと言ってくださったんです。今日つくったお弁当のメインは、小林さんの育てた大根を使い、豚バラと醤油麹で甘辛く味付けしました。醤油麹で甘辛く味付けしました。料理をつくるときはいつも、野菜本来の味が引き立つような味付けを心がけています」
▲出店時に手伝いに来てくれた仲間たちと
2024年11月には、福知山駅北口で開催された食のイベント「Farmers Tables」に出店。しかし1日目は悪天候で中止、konomiさん自身もからだの不調がある中で仕込みをするなどトラブルに見舞われました。
「本当は1人で仕込みをするはずだったんですけど、手伝いに来てくれた人がいたんです。お子さんがいたり、自分の仕事もあるのに手伝ってくれて。まだ知り合ったばかりで日も浅いのに力を貸してくれる。もう泣きそうになって……よし、頑張ろうって思えました」
周囲の人の助けや、konomiさんのがんばりの甲斐あって、無事に仕込みは完了。2日目はイベントが開催され、「konomi食堂」として地元野菜や無添加にこだわった定食を販売。初出店ながら全食完売!
▲Farmers Tablesで提供!地元野菜を使用した塩麹唐揚げ定食
「当初1日50食を予定していたんですが、1日目が中止になったので、2日目に100食売らないといけなくなって。初出店で私のことはきっと誰も知らないだろうし、売り切れるか心配だったんですけど無事完売しました。福知山でも受け入れてもらえたのかなと感じて嬉しかったですね」
福知山で新たなスタートを切ったkonomiさんの活動。1年ほど活動を続けてきた今、福知山の人の温かさを感じていると言います。
「福知山は『こんなことをやりたい』と言うと、すぐに『あの人に相談するといいんじゃないかな』『この場所ならできると思うよ』とみんながつなげてくれるんですよね。しかも『一緒にやろう、手伝うよ』ってサポートしてくれる。なんでこんないい人ばっかりなの?って不思議に思うくらい、やさしい人ばかりなんです」
▲小林ふぁ〜むの畑でとれた大根と小林加奈子さん
活動を通じて農家や地域の人とたくさんの縁がつながり、konomiさんは新たな夢を描くようになりました。
「ゆくゆくは農家さんの野菜や加工品を販売したり、その野菜で調理したご飯が食べられる『おばんざいカフェ』をつくりたいと考えています。カフェで食べた食材を購入できるプチ直売所みたいな場所にしたくて。
そうすれば、安心安全なお惣菜も買えるし、新鮮な野菜を使って家で料理すれば、忙しいご家庭の方でも健康で安心して食べてもらえる。そういう場所を福知山につくりたいんですよね」
もともと妊娠中や働くママのサポートになることがしたいと活動をスタートしたこともあり、忙しいママたちをサポートできる存在でありたいと話します。
「今年は福知山の名産である万願寺とうがらしをつかったレシピをたくさん考えたんですが、うちの子たち、食べているうちに万願寺とうがらしが好きになったんですよ。野菜が苦手なお子さんも食べてくれるレシピや、忙しい時に食べられる時短レシピなども広めていきたいな」
今後はさらに地元の農家や水産業など生産者とのつながりを増やし、レシピ開発などのコラボレーションも増やしていきたいとのこと。
「農家の人と話しながら、もっといろんなレシピを提案することで野菜を購入する人を増やすことができるんじゃないかって思ったんですよね。野菜のさまざまな食べ方を伝えられたら、買う人にとっても楽しみになるし、生産者さんの手助けになれるかもしれない。今後も食材の魅力を伝えられるようなことを企画していきたいですね」
自身の体験から、素材本来の味を大切にしながら「つくる人も食べる人も笑顔になれる料理」を届けるkonomiさん。konomiさんのつくる料理を通じて、心もからだも喜ぶ味に出会えるかもしれません。SNSではレシピも公開中。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
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記事を読んで福知山での暮らしや農業に興味を持った方はぜひ、「
参加者の方の希望に沿って、その地域に暮らす移住者や地元の方か
福知山暮らし体感ツアー
日 時:参加者と調整
内 容:移住するにあたって知りたいこと、移住する際の希望(①子育て、②農のある暮らし
、③まちなか暮らし)などを参考に、市職員が福知山市をご案内します。
参加料:無料(福知山までの交通費、食事代・体験料などは自己負担となります)