FUKUFUKU LIFE INTERVIEW!
【プロフィール】
羽星大地さん(Haboshi Daichi)
30歳/福知山市出身/株式会社CraftBank 代表取締役CEO
福知山市生まれ。大学卒業後にIBMに入社。2021年1月、株式会社CraftBankを設立。東京での暮らしに終止符を打ち、なぜ地元福知山での道を選んだのか?その理由を紐解くため、羽星さんを取材した。
羽星さんは高校まで福知山で過ごし、大学進学を機に横浜での生活が始まった。大学卒業後は、グローバルITカンパニー「IBM」に入社。当時を振り返ると、とても満足いく日々であったそう。そうしたなか、東京でクラフトビールを飲んだことをきっかけに、羽星さんの“クラフトビールとの歩み”が始まった。山梨県発のUCHUBREWING(うちゅうブルーイング)主催で、200人が集うクラフトビールのイベントに参加し、そこで、「200人が熱狂できるコミュニティ」に惹かれたという。ここから自分自身が“コミュニティ”を創りたいという感情が芽生え始めたようにインタビューを通して感じる。
「20代後半の今しかない」と、生まれ育った地“福知山”で事業を起こそうと考えた。なぜ福知山なのか?「こだわりはなく、Uターンしたいという気持ちが大きかったわけではない」、「ただ、やれる時にチャレンジしたい」という心境で、事業の構想固めと準備を進めていった。
※UCHUBREWING(うちゅうブルーイング):山梨県北杜市にあるクラフトビールブルワリー
▲左:羽星さん 右:庄田さん
▲ブランドスローガン:“クラウドファンディングサービス「Makuake 」京都発。旧銀行跡地でつくる、新たなクラフトビールブランドの挑戦”より引用
IBMの仕事をリモートで継続しながら福知山に拠点をつくり、農業からスタートをしようと考え、加工や農産物の販売等、農業をベースに多角経営をする事業構想を抱いていた。いつかクラフトビールでという想いはあったものの、徐々に構想を固めていこうと曖昧さを残しつつ、、、のスタートだった。
そんな時、福知山商工会議所の相談ブースを訪れ、起業に向けて相談をしているなかで庄田健助さん(現株式会社CraftBank CFO)と、巡り逢った。それはまさに偶然でもあり、必然のような出逢いだったのかもしれない。
庄田さんと話すなかで、お互いの思い描くコンセプトと考えが近く、一緒に事業をやりたいという気持ちになった。庄田さんと事業の方向をすり合わせ、2020年9月末クラフトビールで一緒にやろうと決意し、ふたりは走り出した。
まずは、色んなビール屋を見て回ろうと計画し、早速10月に愛知県、11月に宮崎県を訪れた。宮崎県では延岡市の行縢山(むかばきやま)の麓に醸造所を持ち、ワールド・ビア・アワードで世界No.1に輝いた「宮崎ひでじビール」を訪れた。県内唯一の地ビール専門メーカーである「宮崎ひでじビール」さんのお話しを聞くなかで、進み方が具体的になったと感じたそう。現地を訪れたことで、これからの道筋が見えたこともあり、2020年12月にIBMを退社し、福知山を拠点に事業が始まっていく。
そして、2021年1月「株式会社CraftBank」が立ち上がった。羽星さんは代表取締役CEOに就任。ブランドスローガンは、「ビール片手に、なんかやろう。」福知山の市街地の中心にある元銀行の跡地に生まれた場所で、ビールを片手に、人と人とをつなぎ合わせ、何かを創り出す。ブランドスローガンの裏側には、「考え過ぎるより、とりあえずやってみる。遊びや思いつきを、許容する。一人よりみんなとシェアしながらやる。どうせなら、楽しくやる。」(CraftBank noteより引用)という精神を大切にしている。「ビール片手に、なんかやろう。」には曖昧な部分をあえて残した表現にしているが、裏を返せば「可能性を秘める」、「人が言葉にできない、惹かれるもの」ということ。羽星さん自身も意識してきたわけではないが、そんな曖昧な気持ちを大切にしてきたから、挑戦ができ、今が存在すると振り返える。
1階は醸造所とパブ、2階はコワーキングスペース、3階はイベントスペース、屋上はビアガーデンスペースとなる。そして、クラフトビールとコワーキングオフィスを通じてクリエイティブ人材が集まる場(コミュニティ)をつくり、地方都市福知山の次世代のチャレンジの芽を創出するという理念のもと歩みだした。1階から3階、そして屋上。ここで生まれる化学反応は、きっとこれからの福知山を創る中心人物を育てるだろう。
▲1階:カウンター越しに臨む鋳造タンクは観る人を虜にする
▲2階:クリエイティブ人材が集まる拠点となる
▲3階:イベントを通して、人びとがつながる場
▲屋上:福知山を一望できる絶好のロケーションで、食事が楽しめる
▲夜に訪れると照明に照らされたCraftBankのロゴが迎えてくれる
ブランドスローガンや商品パッケージの作成に携わったのは、移住者の公庄仁さん。(公庄さんの移住者インタビューはこちら)そして、公庄さんをはじめとするクリエイティブチームなど様々な分野の方とともにして、想いをカタチにする。
▲地元の農産物を活用した6種類のクラフトビールから始まる
▲ブランドキャラクター
最後に、羽星さんの今後の展望についてお聞きした。目指す場所は、「全国とのつながりと刺激的なコミュニティ」。その第1歩として、クラウドファンディングを試みた。目標額を大幅に達成し、皆さんの期待感を感じられる結果となった。また、ホップ農園、施設のリノベーションの段階から多くの方の支えがあったからこそ、オープンすることができた。このことに対して、「たくさんの人に応援されているからこそ、期待に応えていきたい。」と意気込んでおられる。今秋にはビアフェスの開催を計画されており、CraftBankは目指す場所へと走り出す。
インタビューを通して、やりたいことを実際にやってのける行動力の凄さに感銘を受けた。その行動力は自身を動かし、揺るがない想いの実現へと繋げる原動力となったと感じる。