FUKUFUKU LIFE INTERVIEW!
update. 2025/4/10
戦国武将・明智光秀が築いた城下町として知られ、歴史的な魅力が色濃く残る福知山市。近年はスイーツや肉料理の有名店が注目され、グルメをめあてに訪れる人も増えています。
そんな魅力あふれる福知山の観光を担っているのが「一般社団法人京都府北部地域連携都市圏振興社 福知山地域本部(福知山観光協会)」です。観光案内所の運営から全国で行われるイベントへの出展など、福知山の魅力を広く発信し、観光客を増やす取り組みを行っています。
2025年4月に、こうした福知山の観光PR活動を一緒に行っていただく地域おこし協力隊を募集する予定です。今回の募集ミッション「SNSをフル活用して奥京都・福知山の魅力を全国に届けよう!」とはどのようなものなのでしょうか。福知山観光協会事務局長・中田幸夫さんにお話を伺いました。
福知山駅の北口にある観光案内所。福知山音頭の歌詞や踊り子の姿が刻印されたせんべいや、大江町の鬼伝説にちなんだ最中、直径10㎝のあんこがいっぱい入った薄皮まんじゅう。丹波の栗や黒豆を使ったスイーツや地元で栽培されたお茶、その他福知山城や明智光秀のグッズなど、店内では人気の土産物を販売しています。この場所を拠点に、福知山観光協会はまちの魅力を日々全国へ発信しています。
福知山観光の中心となるのは、やはり福知山城。明智光秀によって築かれたこの城は、「野面積み(のづらづみ)」という自然石をそのまま積み上げる方法でつくられた石垣が特徴です。現在の天守閣は1986年に市民の瓦一枚運動(寄附)によって復元されたもので、 地元の人々の想いが詰まったこの城は、福知山の歴史を象徴する存在となっています。
「2020年に明智光秀が主役の大河ドラマ『麒麟がくる』が放送された影響もあり、全国から福知山城を訪れる人が増えました。歴史好きの方の中にはお城や城跡を訪れた記念として『御城印(ごじょういん)』を求める方も多く、当初は4種類だったものが、今では10種類以上に増えています。中には和紙に1枚1枚手書きで書かれた1枚1,500円の特別な御城印もあり、コレクターの方に人気です」
観光協会では現在、福知山市や関係団体とともに福知山の観光振興のために「福知山観光アクションプラン」を策定し、ビジョンを描いています。「今あるものを磨き上げ、さらに良いものにする」という方針のもと、福知山城をはじめとする多様な魅力のPRを行っています。
「その他、食も重要なコンテンツとして発信しています。丹波栗を使用した様々なスイーツを扱う菓子店や、世界的に有名なパティシエがつくるチョコレートもあり、スイーツのまちとしても注目されているんですよ。あと、肉のまちでもあり、肉料理の有名店は予約が取れないほどの盛況ぶりです」
実は「鉄道のまち」としても有名な福知山。国鉄時代には、全国に27か所しかない鉄道管理局が設置されていました。こうした背景もあり、2023年には福知山の鉄道の歴史を楽しく学べるスポット 「福知山鉄道館フクレル」がオープン。子どもや鉄道愛好家の方へのPR活動も進めています。
△福知山鉄道館フクレル
こうした魅力を国内だけでなく、インバウンド客に向けてもアピールしたいと意気込んでいます。
「京都府北部の丹後地域にもインバウンド客は訪れていますが、天橋立や兵庫県の城崎温泉が主な目的地となってしまい、福知山は経由地に過ぎないことが多いんです。大阪・関西万博の影響で多くの旅行客が訪れることを期待して、福知山に立ち寄ってもらうための工夫をしていきたいです」
福知山は、大阪・京都からのアクセスが良い交通の要衝。この強みを活かし、より多くの人に福知山の魅力を知ってもらうための挑戦を続けています。
こうした福知山の魅力をアピールするため、これまでも、パンフレット制作やホームページ、SNSなどを活用し、情報を発信してきました。
「 地元の人間はあまりにも身近すぎて、新たな魅力を発見しにくいこともあるので今回募集する隊員の方には、既存の魅力を伝えるだけではなく、外からの視点で福知山の新たな魅力を見つけてもらいたいですね。その発見が、これからの観光戦略の鍵になるかもしれません」
こうした状況を改善するため、外部の視点を持つ隊員を募集することになりました。主な活動内容は、SNS運用による情報の発信。そして、観光客に向けた魅力的なコンテンツをつくっていくことが、隊員の大きなミッションになります。
隊員の任期は最長3年。1年目は「まずは、しっかりと福知山の魅力を感じ、体感してほしい」と中田さん。
「福知山は京都府でも3番目に広い市です。地域ごとに異なる魅力を持っているので、見て、歩いて、まずはそれを知ってほしいですね。それと、観光協会には約300の会員がおられるので、地域をまわりながら会員とも関わりを持っていただきたい」
飲食店やホテル、公共交通事業者や旅行会社をはじめとする観光業だけでなく、建設業、卸売・小売業や医療・福祉、寺社・仏閣など地域の事業者が会員となり、観光協会を支えています。地域の事業者の特色を知り、関係性を深めていくことも大切な役割です。
ミッションの柱になるのはSNSを活用した観光情報の発信です。SNS運用スキルを身につけ、思わず福知山に来たくなる魅力的な情報をリアルタイムで配信します。
「春の桜、初夏のあじさい、蛍が飛び交う夏、紅葉の秋、そして冬の雪景色。福知山には素晴らしい四季がありますが、なかなかベストのタイミングでその魅力を発信できていません。隊員にはこうした四季折々の見どころやイベント情報などを中心に、観光情報を発信していただき、観光客を呼び込むきっかけにしてほしいと思っています」
初めから専門的な知識がなくても大丈夫。外部講師からSNS運用のための手法やマーケティングスキルを学び、知識を得ながら仕事に取り組んでいただきます。そのうえで、少しずつひとり立ちしていただきたいと思っています。
「最初からプロレベルである必要はありませんが、写真を撮ることや記事を書くことが好きで、常に情報発信がしたいという方だと積極的に仕事に取り組めると思います。
最初は記事の書き方、写真の撮り方など情報発信に対するスキルを得ることから始まって、市場調査やデータ分析など基礎的なマーケティングスキルを学び、効果的な発信方法を身につけていただける環境を準備しています」
観光イベントに参加し、PR活動の現場をサポートすることも。
「職員と一緒に接客対応をしたり、イベントの雰囲気が伝わるような写真を撮影したり、それをSNSで発信するなどのサポートを行っていただきます。市外では長岡京市の『長岡京ガラシャ祭』や大阪の商業施設で行われた『お城フェス』などのイベントで、御城印やグッズの販売、福知山のPRを行っています。観光好き、歴史好きな方にとってはワクワクする仕事になると思いますよ!」
基本的な仕事の経験を積んだ後は、より大きなプロジェクトへ関わることもできます。
「例えばパンフレットやガイドブックの作成業務では、職員と一緒に会議に同席しながら経験を積んでいただき、自分の意見を反映しながら制作に関わってもらえればと思っています」
また、既存の観光ルートにとらわれず、新たなまち歩きコースや、ツアー、イベントを提案するなど、新たな観光コンテンツづくりにもどんどん挑戦してほしいとのこと。
「現在は城下町のまち歩きコースが一般的ですが、隊員の方には自分が魅力的だと思うルートをつくって提案していただきたいです。例えば、ハイキングや里山散策など、福知山の自然を活かしたルートや、老舗や新しくできたお店、両方の魅力を味わえるコースがあっても面白そうですよね。
観光の魅力は決まった形があるわけではなく、農産物でも、人や、景色でも、何でもなり得るもの。自分が見つけた魅力を発信したことで多くの人が集まり、それが地域の喜びにつながる。そんなことが生まれるコンテンツを、一緒に考えてもらえたらうれしいですね」
今回募集する隊員の活動は、観光の魅力を発信して「まちのために役立つ」だけでなく、情報配信やマーケティングスキルを身につけることができます。3年の任期を経たあと、培った経験を活かして就職や起業の可能性を見出すこともできそうです。
「隊員として活動する上で身につけた知識や、観光協会会員をはじめとした人のつながりの中で、その方が輝ける仕事や場所を見つけてほしい。
例えば、任期中に旅行業の資格を取得すれば、観光コンテンツやメディアを制作するフリーランスとして起業することもできるでしょう。任務中の業務を引き続き、委託業務として仕事を受けるという形も考えられますし、会員から情報発信の仕事の依頼がくることもあるかもしれません」
最初はSNS運用スキルがなくても、少しずつ仕事として通用するレベルをめざすことで、将来的には定住や独立といった選択肢につながります。
「福知山は『ほどよく街で、ほどよく田舎』で住みやすく、京阪神からの移住者の多いまちです。隊員の方が活動しながら福知山での暮らしを楽しみ、この先も住んでみたいと思ってくれたなら…こんなうれしいことはないですね」
「観光」という視点で地域と関わりながら、自分自身も成長していける。それがこの仕事の大きな魅力。 ユニークなアイデアで福知山の観光を一緒に盛り上げていきませんか。
<福知山市地域おこし協力隊員の募集についてはこちらから>